ラーメン屋の内装工事はどうして必要?
ラーメン屋開業資金の50%以上を占める重要な項目が何かわかりますか?それは「内装工事費」です。10坪の店舗でも600?800万円ほどかかるといわれます。この記事ではラーメン屋を開業したい人に向けて内装工事が必要な理由や内装に必要なものなど内装業者の種類についてお伝えします。
ラーメン屋の内装工事が必要な理由
内装工事が必要な理由は2つあります。まず1つ目は営業許可を取るためです。ラーメン屋を開業するためには「飲食店営業許可」が必要です。地方自治体ごとに定められた規準をクリアして初めて許可を受けられます。規準をクリアするには内装工事が不可欠です。2つめは、他店と差別化するためです。近年、味だけで人気ラーメン屋になるのは困難になっています。そこで他店と差別化を図るため内装に力を入れるお店が増加している傾向にあります。提供するラーメンにあった内装や雰囲気を作ることで数あるラーメン屋の中から選ばれやすくなり、リピーターも増えるでしょう。
内装にもオリジナリティを反映しよう
営業許可をとるための機能的な工事も大切ですが、お店のコンセプトに沿った雰囲気を作る内装デザインも重要です。コンセプトやこだわりの詰まった店舗はお客様に愛されます。「ラーメンを食べたい」だけでなく「あのお店に行きたい」と思ってもらえれば他店と差をつけられます。一昔前は似たような内装のラーメン屋ばかりでしたが、近年は高単価ラーメンや大盛ラーメン、洋風ラーメンなど多様化が進み内装もさまざまです。作りたいラーメン、提供したい食体験とリンクした内装をデザインすることで唯一無二の店舗を作れます
ラーメン屋の内装に必要なものは
厨房設備
冷蔵・冷凍庫
食材の保管に必要です。麺だけでなくスープの素になる鶏ガラや豚骨、トッピングのチャーシューや卵、野菜を適切な温度で管理するために使用します。
麺ゆで窯、またはゆで麺器
麺を入れても温度が下がらず、一気に茹であげる機械です。熱効率の良いものを選ぶと作業効率維持、コストの削減が期待できます。給排水の接続やガスまたは電気の接続が必要になるため設置する場所に注意が必要です。
ガスコンロ(ガステーブル)
ラーメンのトッピングを炒めるときやチャーハンなどのサイドメニューを提供する場合に必要になります。提供するメニューによって必要な火口の数や火力が変わります。
スープレンジ(ローレンジ)
ラーメンのスープを温めるためのコンロです。ラーメン屋特有の寸胴鍋を置くため火口が低い位置にあります。作業効率を考えると最低2口は必要でしょう。
2槽シンク
連結した槽が2つ配置されているものを2槽シンクといいます。営業許可を取るためには2槽以上のシンクが必要です。
製氷機
お冷に氷を入れて提供するときに使用します。冷たいラーメンを出したい場合も活躍します。
作業台(デシャップ)
作業台は仕込みや仕上げなどの作業以外にも収納スペースとして活躍します。棚や冷蔵・冷凍庫と一体化したものも多く、機能性や動線を踏まえて選ぶことが大切です。
カウンターキッチン
ラーメン屋と聞いて思い浮かぶ風景の多くはカウンターキッチンです。そのくらい多くのラーメン屋がカウンターキッチンを設置しています。お客様との距離の近さからラーメンの提供、バッシングがスムーズになります。また、作る過程を見られるライブクッキングが実現し安心感と楽しさの提供が可能です。
カウンター&テーブル席
客単価が1000円ほどのラーメン屋で稼ぐには回転率が重要になります。1席あたりの面積が回転率に影響します。広ければ滞在時間が長く回転率が落ち、狭ければ滞在時間が短く回転率が上がる傾向にあります。カウンター席のみでも問題ありませんがファミリー層をターゲットにする場合はテーブル席の導入も検討しましょう。
空調設備
エアコンや排気管の工事・設置も内装工事に含まれます。厨房は特に熱がこもりやすくスタッフに熱中症のリスクがあるため、客席だけでなく厨房にも考慮した設計が必要です。
ラーメン屋は臭いがこもりやすいため換気扇や排気管の設置にも気を配りましょう。
床や壁の材質
目に入る面積が一番広いのが床や壁です。床と壁の見ためを工夫することでコンセプトが伝わりやすくなります。ラーメン屋の床は油などでべたつくため、掃除しやすい素材の中から選ぶのがポイントです。「掃除のしやすい床」は営業許可を取るための規準になることも多いため事前に管轄の保険所へ問い合わせることをおすすめします。
電気&排水設備
配線、照明やエアコンの設置に関して電気工事が必要になります。また、ラーメン屋では調理中に出た排水とトイレの排水の2つが必要です。油が水と一緒に流れるため汚れを除去するグリストラップも必須になります。グリストラップは臭いがたまりやすく、ひどい場合客席まで臭いが届くこともあります。そのため、グリストラップは客席から遠く掃除のしやすいスペースがある場所に設置するのがいいでしょう。
衛生設備
衛生設備とはトイレ・お手洗いのことを指します。トイレが汚いとリピーターを逃すことにもつながるため、掃除のしやすい設計にすることが大切です。
内装業者の種類とメリット&デメリット
内装工事の作業は主に、デザイン、設計、施工の3つに分かれています。
そして内装業者には
デザイン・設計を専門にする会社
施工を専門にする会社
設計から施工まで1社で手掛ける会社
があります。
大きなお金が動く内装工事では業者選びがとても大切です。ここでは各業者に頼む場合のメリット・デメリットを詳しく解説いたします。
デザイン&設計会社
デザイン&設計会社とは主に内装をデザイン・設計する会社です。デザイン面のプロがいるため、理想的な空間を作りやすいのが特徴です。
メリット
デザイン性が高くセンスがいい、コンセプトにあったデザイン・レイアウトの提案を期待できる、施工が設計図通りに行われているか、監視してもらえる
デメリット
デザイン・設計と施工が別会社になるため見積もりや連絡など、手間が増える、デザイン費用と施工費用が別々に請求されるため費用が高くなりやすい、工期が長くなるためスケジュールの余裕が必要になる
とにかく内装にこだわりたい、予算と工期を十分に用意できる人にはデザイン&設計会社がおすすめです。コストが高くなりがちですが、作業導線やコンセプトにこだわった内装にすると集客力が増し売上貢献につながります。
施工会社
施工会社とはデザイン・設計は行わず職人の手配など施工に関する管理をする会社で
す。居抜き物件をほぼそのまま使用する場合、施工会社に依頼する人が多い傾向にあります。
メリット
費用が抑えられる、工期が短い、トラブル対応が柔軟で品質の高い施工を期待できる
デメリット
デザイン・設計は他社に外注することが多く、納得のいくデザインにならない可能性がある、デザイン・設計を別会社に依頼すると割高になることが多い
オープンまで時間がない、予算があまりとれない場合は施工会社を検討すると良いでしょう。
設計&施工会社
設計&施工会社では設計から施工まで全て行います。依頼から工事完了までのスピード感があることが特徴です。
メリット
1社で設計から施工まで行うため融通がきく、責任の所在があきらかなのでトラブルの解決がしやすい、メンテナンス時の連絡が簡単
デメリット
工期の短縮やコストを優先するため妥協がうまれる、デザイン性を発揮しづらい、工事監理のチェックが甘くなる
デザイン面を重視しない、業者選びの手間を省きたい人におすすめです。問い合わせの窓口が1社で便利ですが、工事が設計通り行われているか客観的な立場から監視することが難しいので注意が必要です。
まとめ
ラーメン屋の内装工事は営業許可を取るため、他店との差別化のために必要なことが分かりました。理想の内装を作るには業者選びもしっかりしなければいけません。複数社から見積りをとり工事内容や価格から適切な業者を選択しましょう。